臨時国会が始まった。52分間にわたる鳩山首相の所信表明演説は、一言で言えば鳩山カラーを前面に押し出し、わかりやすさを強調した「友愛演説」であった。遊説先で出会った人々とのエピソードを織り交ぜるなど、全体として、国民に対して語りかけようとする意図が感じられた。
理念やビジョンが中心だったためか、報道関係には具体性に欠ける、抽象的と不評なようだが、具体的な政策に関してはもともとマニフェストがあるのだから、わざわざ所信表明演説で繰り返すまでもないだろう。少なくとも、民主党への対決姿勢を鮮明にした麻生前首相の所信表明演説よりははるかにましだと言わなくてはならない。
さて、こうしてスタートした臨時国会だが、それに先駆けて、「答弁メモ」の作成指示が内閣総務官室名で各省庁に出されていたことが報道されている。臨時国会に向け、首相や官房長官が行う答弁書づくりへの協力を指示したもののようだが、これは今の鳩山体制の中では官僚にとって荷の重い作業である。
そもそも各省庁の政策づくりは、政務三役が中心となっており、ここに官僚は実質的に関与していない。答弁メモを作りたくても作れないのである。鳩山首相も平野官房長官も、報道陣の取材に対して、自分から指示していないと答えているが、だとしたら指示したのは誰なのだろうか。
「答弁メモ」の作成指示書を出した内閣総務官室は、内閣の事務部局として国会との連絡調整にあたる機関で、官職は内閣総務官1名を省庁の局長級幹部の中から任命する。指示書の内容は、自公政権時代に出されていた内容とほぼ同じというらしいから、答弁メモの作成指示を慣例通りに機械的に出したのだろうか。
鳩山首相の目指す「脱官僚依存」は、こうした官僚組織内部に蓄積された、慣例主義、前例主義との戦いでもある。現段階では官僚をどの程度関わらせるかとか、政務官をもっと増やさなくては対応できないとか、制度上の問題がまだ解決できていないように見受けられる。とりあえずは、臨時国会を通じて様々な課題が噴出するかもしれないが、一つ一つ対処しながら体制を固めていくしかないだろう。
ただ一つだけ鳩山内閣に要求するとすれば、「過去には戻るな」ということである。長期に渡った自民党政権の中で作られてきた一見合理的とも思えるしくみでも、それが政と官の馴れ合いの構図の中に作られてきたものであれば、そこから一日も早く脱する見通しをつけることが肝心だ。
これまでのやり方の中に身を沈めれば、確かに政治家は楽ちんかもしれない。官僚に任せていた「質問取り」にしても、平野官房長官は「理想は政務官らが質問取りすること」と言っていたが、そんなものは理想でもなんでもない。質問する側が事前通告の段階で、詳細に通告すればいいだけであり、もともと官僚が質問取りに出向く必要などないのである。
政治主導の政治を作ろうとしている民主党だが、それは与党だけがその努力をするのではない。野党もまた、官僚との馴れ合いの中に依存を深めてはいなかったか。今度の臨時国会は、そうした部分からも見直していくよい機会であると言える。


by makomakomako
詐欺と言うより乾政治部長の理…